体験レポ:楓涇古鎮と金山農民画基本情報|プリントアウト
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体験レポ:楓涇古鎮と金山農民画
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(11票) 更新日:2013年04月08日

 こんにちは。チャイナエイトです。  今回参加したのは、上海近郊の水郷「楓涇古鎮」を訪れた後、さらにオプションで金山農民画を体験するという欲張りツアーです。


 朝8時半に宿泊先のホテルにガイドさんが迎えに来てくれました。そこから車に乗って出発です。楓涇は上海の西のはずれにある歴史のある水郷古鎮です。車で約1時間ほど走り、9時半過ぎに現地に到着しました。

 楓涇と書いてある門の横に見えるのは、その近所にある普通のアパートですが、よく見ると壁に農民画が描かれています!



 入口に入る前から期待させますね。



 ガイドさんが入場券を購入してくれて入場です。小さい橋を渡って街の中へ入っていきます。





 入口からほど近いところに、楓涇の概要を解説する資料館がありました。楓涇は1500年の歴史があり、かつての呉と越の両国のちょうど境に当たっていて、その名残で近年まで北と南に行政区が分かれていたことなど、ガイドさんが解説してくれました。金山農民画発祥の地との説明もありました。



 



 外は運河が流れて水郷らしい街並みが広がっています。

 次に楓涇の特産品「丁蹄」の作業風景を見られる施設を見学しました。丁蹄というのは、豚肉を煮込んで加工したものです。



 肉を洗うところから、煮込んで伝統的な包装をするところまで、一連の工程が、人形の模型で展示されています。人形はなかなかよくできていますし、煮込んでいる台所も農民画がしっかり描かれています。元々は台所回りに絵を描くことが多かったようです。、



 



 観光施設を巡りながら楓涇の街を散策しました。運河や橋、周囲の建物は趣きがあって水郷の雰囲気たっぷりですが、なんとなくひなびていて観光地というより現地の人々が普通に生活している空間が広がっています。土産物屋さんもあることはあるけれど少ないし、商売っ気がない。観光用の姿というより普段着の感じですね。なんだか懐かしい感じです。庶民の生活を垣間見ることができて、楽しいです。



 



 郵便局の建物が、やけに立派でした。運河の景色はやっぱりいいですね。



 



 おばちゃんが粽(ちまき)を包んでいます。あちこちで粽をみかけました。お昼近くになると、下校途中の子供たちも見かけます。生活感いっぱい。



 



 11時頃に「三百園」見学。百というのは無数、たくさんあるという意味で、百灯・百籠・百行の三種類で三百です。

 最初の展示物は、灯りです。古代の灯篭から近代の豪華なランプまで、龍灯祭りもありました。



 



 二つ目のテーマは籠(カゴ)です。入口横に、大きな魚が籠に入っていました。昼食を運ぶための籠の弁当箱や祝いの食卓など、現地の伝統的な食文化をのぞく感じです。

 三つ目の展示は百行。行は「職業」の意味で、ありとあらゆる職業が展示されています。三国志の張飛が元々は「豚の屠殺業者」、孔子が教育者など、人形と一緒に延々と続き、百で終わるかと思ったら終わりません。全部で360もありました。



 次に見学したのは人民公社の旧跡です。以前、楓涇には人民公社があったとのこと。1970年代に整備された防空壕や、当時の戦闘機などが庭に展示されています。観光客用に顔を抜いた撮影人形が、何だかのんびりした雰囲気を演出しています。そして毛沢東さんの写真がズラリ。



 



 毛主席の記念バッチだけを集めた建物もありました。像の後ろは一見ただの飾りかと思ったら、全部記念バッチです!林彪氏と二人の貴重なバッチも発見。当時の社会背景などの予備知識があると、なかなか興味深いものがあります。ちょっとマニア受けしそうなスポットですね。



 その後、水墨画の大家「程十発」氏の故居を見学し、そろそろお腹が空いてきたところで昼食です。

 楓涇には、江南地方の水郷の特徴である廊棚(運河両側の屋根付きの回廊)が長く伸びていて、土産物屋やレストランが文字通り軒を連ねています。その一つ、郷土料理のレストランで昼食。写真は入口の看板です。中は半個室のような感じで仕切られていて落着いて食事ができました。先ほど見学した名物料理「丁蹄」もいただきましたよ。



 



 午後は、いよいよ農民画体験です。近くですが車で「中国農民画村」へ移動しました。入口の門をくぐると、平屋建ての農家風の建物が、敷地内に点在しています。画家がそれぞれ工房をかまえていて、見学や体験もできるようになっています。実際に野菜が植えられていたりして、のどかな農村の雰囲気です。



 



 今回の体験ではそれらの工房の一つにおじゃまして、実際に農民画を描いてみるというもの。



 



 お手本を見ながら枠線の書かれた下絵の上に色を塗っていきます。塗り絵みたいな感じですね。絵を描くなんてあんまり自信がなかったのですが、一つずつ教えてもらって色を塗っていくので誰でもできそうです。

 最初はちょっと緊張しましたが、童心にかえって無心に絵筆を動かすこと1時間ほど。できた!





 サインをして額に入れたら、それなりに立派に見えます。どれがお手本で、どれが体験者の描いたものか、

わかりますか。初体験にしては上出来、と自画自賛。 



 指導してくださったのは、ご夫婦で農民画を描いているお二人。記念撮影もお願いしました。壁一面に作品が飾られています。元々は買うつもりはなかったのですが、見ると欲しくなってしまいます。お値段も上海市内で買うよりかなりお得ですし、何より絵を描いたご本人に解説してもらえて、記念撮影までできるなんて、ここに来なければできませんよね。



 で買うことにしたものの、選ぶのが大変。春節や中秋節、あるいは結婚式の様子など伝統的な風習を描いたものもあれば、上海の現代的な風景を描いたものなど、独特の鮮やかで可愛らしい色彩で細かく描きこまれています。どれも素敵でなかなか決められません。結局2枚も購入してしまいました。



 



 この工房では、家族写真をお預かりして、それを農民画の絵の中に書き込むというサービスもしているそうです。

 上海の夜景をバックに家族が描かれた農民画なんて、最高の記念になりそうですね。



 その後に、他の工房もちょっと覗いてから資料館を見学しました。中国農民画は上海近郊の、この金山だけではなく、北は東北地方から西南の雲南まで広くあちこちで描かれていることがわかりました。



 



 外に出ると、ちょうど菜の花が花盛り。のびやかな春の田園風景に時間を忘れてしまいそうです。購入する絵を選ぶのに迷った分、予定時間より少し長めに農民画村で過ごした後、一路バスで上海へ。夕方ホテルに到着してツアー終了。



 楓涇は、水郷としての知名度はさほど高くありませんが、運河や橋など水郷の街並はばっちり。あまり観光地化されてない分、ゆるい感じで普通の庶民の生活感が楽しめます。そして何より農民画体験は楓涇ならでは。レトロかつモダンで可愛らしい農民画は、細かいもの好きの日本人、特に女子の心をつかむ魅力があります。写真では伝えきれないその魅力。百聞は一見にしかず。ぜひ本物を見ていただきたいと思います。



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