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福建の世界遺産「華安土楼」レポート |
役立ち度: | (7票) | 更新日:2010年10月24日 |
アモイから一番近い世界遺産でもある福建土楼の華安土楼(大地土楼郡とも言う)をレポートします。 |
こんにちはチャイナエイトです。今日は福建省の世界遺産「福建土楼」をご紹介します。
撮影日:2010年8月
撮影場所:福建省華安県
福建土楼は福建省の各地に点在していてそれぞれ全てを一つとして2008年に世界遺産に登録されました。現在観光目的で行くことが出来るのは、「永定土楼群」「南靖土楼群」「華安土楼群」の3つの土楼群。そろぞれかなり離れていて全部回るには1,2泊必要。お世話になった厦門旅遊集団さんいわく、永定は日帰りではかなり無理があり、南靖は展望台からの景色は綺麗だが、土楼の中はぼろぼろで、しかもお土産さんだらけでゆっくり見れないということで、一番おすすめの華安土楼へ行くことにしました。
ここの入り口までアモイ島から約2時間半。到着は11時10分。午後ゆっくり見たいので、先に昼食にしてもらいました。
入り口の手前に立派な新しいレストランがあります。ここでお食事です。
さすが世界遺産専門のお店だけあって綺麗です。
客家料理は脂っこく、味も濃く、カロリーが高めなのが特徴。しかもこの量・・・2人前です。
【チャイナエイト中国旅行ミニ講座】
突然ですが、中国旅行のワンポイントアドバイスです。中国を旅行すると今回のように明らかに食べきれない量の料理が出てくることが良くあります。もったいないとか、ぼられた、とか思うかもしれませんが、これは中国式の客人をもてなす礼儀なのです。中国では客人を食事に招くとき、あえて食べきれない量の料理を出すのが礼儀で、逆に、客が出された料理を全て食べてしまうと、招待した側へ、「これじゃ足りないよ!」と言うことになります。中国人にとって食事は味や、店の雰囲気も大切ですが、一番大事なのが量で、ガイドさんもおなかがいっぱいになったかどうかを一番気にしています。中国に来たら食事は残すのが当然ということを覚えておきましょう!
土楼までは500km程度ですが、電動自動車で移動します。
まずは村全体を見渡せる場所へ案内してもらいました。が、、、高さが足りず、もの足りず、、、こっちの茶畑行ってもいいですか?とガイドさんに無理をいって、茶畑を登ること10分。
無理言って登った甲斐がありました。絶景!絶景!ガイドの林さん、ごめんね、本当にありがとう。この村の土楼は全部で3つ。中央に見えるのが現存する世界最大の土楼で「二宜楼」、その左奥に小さく見える円形土楼は博物館になっている「南陽楼」、その南陽楼の右となりにあるのが、方形土楼の「東陽楼」です。さぁ、下りて見てみましょう。
世界最大の土楼「二宜楼」です。近くで見るとかなり迫力があります。この二宜楼は約200年前に建てられたもので、きわめて保存状態が良いそうです。
びっしり詰まった石垣の中に隙間を発見。単なる工事ミスかと思ったら、敵が攻めて来た時ここから外の様子を見る為の穴だそうです。
客家少女発見。ここでは歩き飯が当たり前。
壁の暑さは3m弱もあり、ちょっとやそっとでは壊せません。
土楼の唯一の出入り口である門は鉄板で補強されています。敵が門に火を放っても焼かれないようにする為です。
さらに、門の上部には隙間があり、ここから放水できるそうです。万が一門に火がついてもこれで消火します。
土楼の中にはには井戸があるのが基本で、外敵と長期戦になっても耐えられるようになっています。昔は家畜もここで飼われていたそうです。
この土楼のには12個の入り口があり、それぞれ別々の家族が住んでいます。この入り口の彫刻は真っ暗な夜に、手探りに触って自分の家を間違えないようにする為のものだそうです。なので、各家の彫刻は微妙に形が異なっています。
華安土楼の一番の魅力は内装です。 200年前と変わらない色合いで内部の装飾を見ることができます。
土楼の3階からの眺めです。土楼の内部を見学できるのも、今はここだけだそうです。二宜楼は外側が4階建て、内側が1階の作り。そして、4階部分の外側に通路があり、各部屋をつないでいます。
敵が万が一侵入してきても、階段には蓋が用意されていて、侵攻を阻止できます。 4階の通路と階段の蓋を利用して、敵を特定の場所へ追い込みいっきにやっつけるそうです。なんでそんなに敵がいっぱいいるかと言うと・・・
【チャイナエイト客家ミニ講座】
突然ですが、客家(ハッカ)について学びましょう。むかーし、むかし、戦火を逃れる為に南下してきた漢民族の民がいました。突然現れた彼らを、原住民たちは、よそ者という意味の客家と呼ぶようになりました。幾度となく原住民たちは客家を追い出そうと争いになりました。その争いの中で客家たちは土楼という不落の城を築いていきました。
というわけで、土楼は住居と言うよりも要塞としての役割が大きかったのです。
「宿」の看板を見てもしかしてと思い聞いてみました。もしかして泊まれるの? 1泊30元で泊まれるよ。なんと、世界遺産にお泊りできます。しかも30元。 ちょっと勇気の要る部屋でしたが、機会があったらどうぞ。
二宜楼を後にして、茶畑を歩くこと10分。博物館になっている南陽楼を見学。
南陽楼は二宜楼より一回り小さい円形土楼で、ほぼ全ての部屋が展示室になっている博物館です。
入り口でおばあちゃんがお茶を出してくれました。ここで飲んだウーロン茶がホントにホントにおいしかった。歩き回ってのどが渇いていたのもあるけど、今までこんなにおいしいお茶は飲んだことがないと思うほどおいしかったです。おばちゃんは特にお茶を売っているわけではないので、安心して飲ませてもらってください。私はお茶のあまりのおいしさに感動して、お礼の意味も込めて土楼の灰皿(写真右下)を買いました。
土楼を形作る一つ一つのもの全て世界遺産。
こんな感じで部屋にいろんなものが展示してあります。
昔の厨房を再現。なぜかここにだけ真新しい人形が・・・かなり不気味。
土楼の壁は土とわらがベースで、うそかほんとか、たまごやさとうも入っていて、いざというときに食料にするそうです。
どのような方法で敵に対処するかのイラストが分かりやすくて面白かった。
何気なくお土産を見ていたら、今話題の3Dがここに! 昔小学館の付録で付いていたような 写真が立体に見えるめがね。これが結構面白い。というわけで約3時間たっぷり土楼を見学しました。世界遺産を訪れたというより、一つの村に遊びに来たと行った感じの場所でした。押し売りのお土産屋もないし、村人はみんな気さくで優しいし、お茶はおいしいし。他の土楼だとこうはいかないそうです。自信をもってお勧めできる世界遺産です。