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桂林にも高速鉄道時代の到来で~す!
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(12票) 更新日:2014年09月21日

中国版新幹線・高鉄(高速鉄道)に、広西チワン族自治区桂林から一つ北の省の湖南省長沙南まで運行の一部区間、桂林から一つ北寄りの桂林市へ所属する全州県の全州南駅(125キロ)まで、所要時間50分間を往復して来ました。 未だ、本当の意味での高鉄(高速運行)になっていませんでしたが、在来線との比較も交えてご報告します。


ニ−ハオ!ようこそ~チャイナエイトへ~!



観光都市「桂林」は、世界でもその名は広く知られた存在です。



名前は聞いたことがあってもその場所を正確に知る人は、他国ではおそらくすごく少数派でしょう。



北京や上海からは遥かな遠隔の最南部の地・広西チワン族自治区の小地方都市に過ぎません。



 



その遥かな地「桂林」へも、今年(2014年)初頭より待望の高鉄が走り始めました。



撮影日:2014年09月01日



撮影場所:桂林⇒全州G536便(CRH)



尚、この文は、在桂林の日本人より寄稿されたのもです。



 



2014年9月1日朝、高鉄へ乗ろうと桂林駅前へやって来ました。



8月半ばに気温の比較的低い日が続き過ごし易かったものの、一週間前から除々に気温が上がり、午前10時過ぎのこの時間は、正に真夏に戻った暑さである。



 



中国の都市の駅頭は何処も同じであるが、車の混雑と騒音・群衆の雑踏に満ち溢れている。



この無秩序な混乱と騒音がより一層の不快感となり、暑さを伴って押し寄せてくる。



 



友人と落ち合い、2重のチェックを受け、駅構内へ入り待合室へと進む。



広い待合室は大勢の旅客で溢れている。ざーっと見渡し5百人前後では?



 



待合室に直結された改札ゲートは自動化されている。



ゲートの上の壁面には大画面の電光掲示板が設置され、列車時刻やその他の案内を次々と流している。



桂林では、高鉄が登場してまだ9ヶ月と日が浅く、高鉄のシステムに不馴れな人が多い所為であろう、画面が動画になり飛行機での安全ベルトや救命胴衣を付ける様子と同じように、磁気の搭乗券を改札ゲートへ通し通過するのを説明しているのが興味深い。



 





発車15分前に改札が始まり、一斉に人々が動き出す。



改札を抜け長い大階段を昇り降りし、ホームへ辿り着くのは大変です。



 



今年2月春節の時期に、桂林→蘭州(3064キロ)間を2泊3日の列車体験をした際、大荷物を持っての列車移動の大変さを実感しました。



春節の長距離移動が大量の荷物になるのは理解できます。



故郷へのみやげ物、列車内の数日分の食料等と、しかし当日中に目的地へ到着する高鉄においても、中国人の荷物の量は、日本人の目には驚きです。



 



春節の際に、大量の荷物を天秤棒に提げて運ぶお年寄りを見かけました。



モダンでスマートなこの高鉄でも、天秤棒で沢山の荷を担ぐ人が混じっているのに驚きます。



しかも、比較的若い30代位の女性も2・3人いたのには、不思議な物を見た思いです。



 



考えてみれば、大きな荷を3個位までは頑張って両手で運べますが、それ以上になればとても両腕では間に合いません。



天秤棒の両側に4個や6個をぶら下げ、ホームへと階段を昇っている姿を見ると、他人の目を余り気にしない中国人の生活の知恵だと感心します。



 



日本では、早くから宅配システムが普及したので、大きな物や重い物は先に目的地へ送り、比較的身軽に旅行するスタイルが広まったのでしょう。



 





広く長いホームへ8輌編成のスマートな姿を見せ、高鉄は静かに待機しています。



 



在来線の列車は、機関車は勿論、客車も貨車も、広大な中国大陸の大地を、大量の物資と溢れるほどの人員を満載し駆け巡るに相応しい武骨で頑丈な造りで、日本の車輛に比べ一回り大型であり重量級の図体であるのに、この高鉄は新幹線より一回り小型であり、車窓も少し小さいサイズである。



 



先頭の運転車輌はモダンで、列車全体も綺麗な車体なのに、運転席のウィンドウの汚れが酷いのが気に掛かる。



 





春節の際に、最も苦労したプラットホームと列車の段差は、高鉄では解消されていて、ホームに辿り着いた大荷物を提げた人々も、何事もなく次々と吸い込まれるように車内へスムースに移動している。



私が在来線で感じた、中国鉄道の一番の問題点であるホームと列車の段差は、この事を見ても中国の多くの人々も感じていたのだと思う。



 





車内へ入ると空調が効いていて快適である。



車内の内装も落着いた色調のモダンな雰囲気で、なかなかの好印象である。



我々は二等の指定の席へ腰を降し出発を待つ。



 



前席との空間は広く、足下は可也の余裕がある。



新幹線より7・8cmは広く取ってあり、座り心地も好くすこぶる快適な仕様である。



 





高鉄は特別な存在であるのか、定時きっかりに発車する。



発車すると急速にスピードアップして行く。



しかし、在来線列車の最高スピード近辺の速度でスピードを保ち続け、これでは高鉄(高速鉄道)とはとても呼べないと思い外を観察していると、現在この路線は、在来列車が走行する線路を共用して運行しているようで、客車の出入口上の電光掲示に196・7キロの表示が流れており、常時200km弱を維持しているようである。



 



勿論、北京を中心に天津・上海・南京などの大都市を結ぶ東部沿海地区の高鉄路線は、新幹線と同じ高架の高速専用路線であり、スピード争いでは350キロを営業運転で出し、世界一を誇りにしています。



 



この200キロ弱のスピードは在来線としては、可也速い部類に入るのでしょうが、目を閉じていると気密性も高く外部の風切り音なども一切無く、揺れや振動も感じず徐行しているのではと目を開け外を見ると、可也のスピードで走行しており197キロと示されている。



素人考えでも、この高鉄の走行性能の6・7割の能力しか出していないのではと思われる。



 



高鉄の性能をフルに発揮させるには、常時200km半ば以上のスピードで走行させないと勿体無いような気がします。



 





8輌編成は、1等車1輌と先頭の運転席と一体型車輛の運転席部分を除く残りも1等であり、それに食堂車が1輌あとの残りの車輛が2等車となっています。



2等車は横に2席と3席が並び、それが、16列と17列ある車輛が混っています。



1等車は2席・2席の配置で、それが10列とゆとりを持った空間になっています。



違いは、シートの色使いと、一席当たりの前後と横幅の広さ程度で、それ以外に1・2等の明確な差は感じられません。



超肥満体でない限り、この程度の差であれば2等車で十分満足ゆく乗り心地です。



 





トイレは、在来線のものが可也不潔であったので気になっていました。



高鉄では、華美ではないもののシンプルで清潔な内部で、これであれば国際水準でも全く“没問題”と言えます。



今後は、利用客側が清潔に使い続けてくれるのを願うのみです。



 





私はこれまで、来日中国人自身がネットで、日本の新幹線の運行時刻の正確さやサービスの良好さを褒めていて、高鉄側の問題点をアップしているのを多く見掛けました。



今回も、スマートな制服の女性乗務員が、窓脇のフックに吊り下げているお客の荷物を棚に上げるように注意しているのが、実に上から目線で命令口調であるのを見ると、折角オシャレな雰囲気になった高鉄なのに、もう少しサービス面が変わればなとは感じました。



 





しかし、事故や運行上の問題は存在するものの、性能上の差は多くの日本人が思っている程には、私は無いのではと実感しました。



 



誕生から50年の新幹線の歴史で、乗客の事故死が一例も無いことは、誠に素晴らしいことです。



このことは、新幹線運行に携わる人々の熱意と努力の人間力で成し遂げられいるのであり、完璧な新幹線を他国へ輸出しても、無事故を保障するものではありません。



 



私も、日本の多くの方々と同じように、漠然と完成度の差があると思い込んでいました。



 



高鉄を体験した現在、その差は決定的なものではないと実感しています。



 



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