その他レポート |
冬の桂林 そのひそかな楽しみ! |
更新日:2016年03月08日 |
ささやかではありますが、陰鬱な雲の多い冬季の桂林で、冬が来る度にひそかに楽しみにしているものが三つ、否四つかも? |
你好!
今回は、桂林で住み始めて毎年冬を迎えると、多少の期待を持って待ち望む、桂林のささやかな庶民の味覚の楽しみを書いてみました。
撮影日:2016年02月22日
撮影場所:桂林市街地のあちこち
尚、この文は、在桂林の日本人より寄稿されたのもです。
金柑は、中国より日本へ渡来し、中国名は金桔である。
中国では蜜柑を桔子と称しているので、金色の蜜柑すなわち金桔であり、日本の金柑と全く同じ名付けである。
というより、中国より待ち来たりした時、名前も同時に伝わり日本の国内で金色の蜜柑、すなわち金柑となり一般に広まったと、理解する方が正しいのではないでしょうか。
柑橘類は夏に開花し、秋より果実が熟してくるが、金柑は普通の温州蜜柑より遅く熟し、冬のさなかに最も旨くなる。
現代では、季節に関係なくあらゆる果物が容易に手に入るものの、それ以前の時代には自然の果物が少い冬季、貴重な存在として小粒であるも黄金色の光を放ち、燦然とその存在を主張していたことでしょう。
現代でも果物界の表舞台へ登場する主役ではなく、あくまで脇役ではあるものの、重たく垂れ籠める厚い雲の下で暮らす日々の多い冬の桂林で、新鮮で甘酸っぱく柑橘類特有の目の覚めるような爽やかさは、何とも捨てがたい味覚であり値段も安く、桂林人に好まれ食されているのも大いに頷けるものである。
砂糖黍、中国名は甘蔗。
晩秋の頃より春まで比較的長い期間、桂林の街角にこの露天商が出現する。
以前はリヤカーであったが、近年は段々と電動三輪車へ取って代わり、その荷台へ2メートル以上もある太く黒光りした棍棒状を数十本も立て掛け売っている。
最初に目にした時は、少し柴色に鈍く黒光りしている上に土汚れも付いており、この武骨で猛猛しい棍棒は、一体何を売っているのか見当もつかず、全く口に入れるものとは想像もできませんでした。
好みの一本を選ぶと重さを計りお金を払うと、ピーラーのようなナタのような専用の皮ムキと切断ができるナイフ状の刃物を取り出し、根元の方から素早く皮をむき、ある程度の長さまでむけると、買い手に持たせたプラ袋の中へ、外観からは想像もっつかない純白のみずみずしい姿の棒を、15cm位の長さに次々と切り落とし、さらにむいては切り落としを3回ほど繰り返してくれる。
現代の日本には、柔らかくソフトな食べ物が溢れており、固く歯応えのある食品に馴れていません。
そこで注意することは、正面から真角に口に入れ噛むとアゴや歯を痛める危険性があります。
必ず斜めから齧り削ぎとるように噛み切ることをお勧めします。
日本でも奄美や沖縄など南の島々には砂糖黍を多く産出し、そこでは日常的なものですが本土では余り最近見掛けることがなく、口にしたことのない若者も多いことだと思います。
念の為に、味わい方を説明いたします。
みずみずしく純白に輝く一本を手にし、一部を齧り取り口中で噛み締めると、その度に樹液が溢れ出てきます。その樹液だけを味わい口に残ったカスは吐き捨てて賞味下さい。
この樹液の鮮烈で一点の曇りもない透明で濁りなく純粋な甘さは、何とも言えない幸福な一時を与えてくれます。?のない甘さは、他のものに置き換えることができません。
値段も安く気軽に味わえるので、機会があればどうぞお試しください。
但し、歯やアゴに自信の無い方にはお勧めしません。
焼甘栗
秋に収穫された栗を、昔は大きな鉄鍋に砂利などと一緒に炒りながら、それへ油や蜂蜜を垂して蒸し焼き状に仕上げていました。
現代ではドラム状の釜をモーターで回転させ、プロパンガスで焼く方法になっています。
ここに書いた他の品は、比較的季節限定型であるが、焼甘栗は一年中売られており、今では特に冬に限ったものではなくなりました。
それでも、秋に穫れたばかりの新栗で焼かれた甘栗は、冬の楽しみの一つです。
古くは、この焼栗はとても貴重品であり、皇帝へ捧げられた献上品の一つであり、高貴な身分の者しか口にすることができなかった品です。
一般庶民も口にすることができるようになったのは、ごくごく近代になってからのことです。
日本では、天津焼甘栗と銘打つのが定番となっていますが、中国では北京蜂蜜炒油栗と銘打ちブランド化しています。
多分にこれは嘗て、北京の皇帝への献上品であったことを、最大の売り言葉にしているのでしょう。
焼甘栗は日本で、結構高いものでありそう再三買えるものではないように思われます。
桂林では、貨幣価値の差の為、日本人にはびっくりするような安さで気軽に購入できるものです。
しかし、当地の人間にとっては、他の物価と比べ割高であるのは確かです。
中身に当たり外れが少くおいしく、価格も安く日持ちもするので、私はとても重宝し毎回日本へのおみやげとして喜ばれています。
焼芋
私は随分と以前に冬の北京で、人力車曳きのおじさんに温かい焼芋をご馳走になり、人力車の上で冷た体と心が暖かくなったとの、日本人女性の文章を読んだ記憶がある。
多分人力車のおじさんは、若い日本人女性だからご馳走したのであり、私みたいな年配のおっさんには、そんな幸運は巡ってこないのは解っているものの、つい冬になると買い求め、毎回期待外れであるのが残念である。
冬になり冷たい風が街を吹き抜ける季節になると、改造ドラム缶焼芋器をリヤカーに積み街角に出没する焼芋売り。
日本でも生の芋に比して、焼芋は結構な値段で売っている。
ここ桂林でも、他の物価に比して高いものである。それでも旨ければ納得もするが、何度かトライしたものの、毎回期待を裏切られている。
その一番の原因は、使用している芋自体の質の悪さである。
水分が多くベチャベチャした芋が多く、偶にこれはと思えるものも口に入れると、パサパサしていて味の無いものである。
日本では、焼芋で余り出来の悪い物は珍しく、偶に食す焼芋は旨いのが普通である。
それでも桂林で、冬になれば焼芋を1度や2度食べてみたいと思うのは、季節的な食べ物の誘惑と遥か昔の北京の焼芋の記憶が、頭の片隅から離れなく、懲りずに買い求め又失望するを繰り返している次第である。
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