交通レポート プリント
人生初・2泊3日の長距離列車体験!
更新日:2014年12月29日

中国での友人である青年の新婚のお嫁さんが、春節休みを利用しての里帰りに誘われて二つ返事で行くことにする。新婚夫婦と青年の両親に私の5人で半月間の旅へ出る。
新婦の故郷 甘粛省の省都蘭州市は、ここ桂林からは鉄道路線距離にして3064キロメートル、所要時間は西安駅での乗換え時間を含め40時間30分 2泊3日の車中の旅である。

ニ−ハオ!ようこそ~チャイナエイトへ~!

桂林から蘭州への長距離列車は、同じ広西の省都南寧始発西安行K316便が唯一の列車である。

途中、西安で乗り継いで蘭州まで行くことになる。

列車は桂林の広西を出て、湖南・湖北・河南の各省を北上し、河南省の省都鄭州市から西へ大きく進路を変え、陝西省西安を経て黄河の上流域に沿って発展した、中国中西部の都会蘭州へ到る。

 

撮影日:2014年02月02、03日

撮影場所:桂林⇒西安K316次列車 と 西安⇒蘭州K889次列車

 

私が、新幹線の影も形も無い60年も前の小学生の頃、大阪から宮崎の祖父母の元へ夏休み遊びに行った。

記憶も定かでないが、山陽本線は電化されていた気がするも、九州に入り日豊本線になると蒸気機関車に引っぱられ、トンネルに入る旅に窓を下げたり上げたりし、煤煙に咽た覚えがある。

大阪を夕方に発ち翌日の午後に着いたと思う。この一日足らずの列車体験が一番長いものである。

これから始まる2泊3日の列車の旅は、晩年に近づきつつある私にとっても少々ワクワクするものである。

 

春節3日目の2014年02月02日(日)、桂林発17:17の長距離列車へ乗る為、余裕を持って1時間前には桂林駅前へ行く。駅の建物前に大きく張り出した鉄柵ゲートで、乗車券と身分証(私はパスポート)のチェックを受け玄関へ進む。次に、空港と全く同じように荷物のX線検査とボディチェックを受け、やっと構内に入り待合室へと進む。

 

この時間帯、我々乗車予定の西安行K316の専用待合室になっている内部は、3百人ほどの人で混雑し、ベンチの空きは無い。仕方なく立ったまま待つ、その後も徐々に人数は膨れてくる。

列車の表示が変わり、これからの長い旅程の最初の区間に当る、同じ省の省都南寧→桂林間で約20分の遅れが出ているらしい。行く先の遥かな地を考え少し憂鬱になる。

 

出発時刻20分程前に、改札が始まりそうな気配で人波が動き出す。

改札口は待合室に直接設けられていて、それを抜けると目の前に大階段が在る。

1階から2階へは、普通の建物の3階分の高低差がありそうである。更に3階まで上がり横に移動し、今度はホームへの階段を下りる。これを大勢の人々が、大きな荷物を抱え我先にと急ぐ、私も重いスーツケースを提げついてゆきフラフラになる。

初めに、リュックとショルダーでと考えていたのに、旅程の長さを考慮して着替えを増やした為に、スーツケースに変更したことを後悔する。

 

既に、列車はホームに入っている。列車沿いにホームをスーツケースを引きながら長々と歩き、目的の車両を探し当てるのも一苦労である。各車両の乗降口に立つ車掌が、乗車券をチェックしてからしか車内へは立ち入れない。

日本のように、取り敢えず手近な車両に飛び乗り、車内を移動しながら自分の席を探す技は不可である。

ようやく目的の硬臥(B寝台)へ辿り着き、乗り込もうとして、改めて日本と中国との鉄道の違いに気付く。

 

中国のプラットホームは、列車の高さよりかなり低く造られていて、車内へは乗降口に垂直に下がった3段タラップを上がらないと入れないのである。手ぶら状態であれば何の問題も無いのですが、中国での列車の旅は2・3泊を要することも多く、休みも長期で着替え・身の回り品・お土産物に、2・3日分の食料(カップ麺類)もと多量の荷物を、殆どの人々が携帯している。

私も、大きなスーツケースを抱えて狭く感じる3段ステップを、よじ登るように車内へ辿り着く作業は大変です。

 

硬臥の車内は片側に長い通路があり、通路に沿い3段づつの寝台が向かい合わせにずらっと並んでいる。

通路の車窓下に小さなテーブルと両脇にバネで収納された腰掛けが取付られている。

番号を目当てに自分達の寝台へ辿り着くと、既に始発の南寧からの荷物でスペースが埋められている。

友人の青年が先客の荷物を動かし隙間を作り、寝台下、通路上の網棚にと、我々一行の荷物を押し込んでくれる。

荷物も収まり、下のベットへ腰を下し落ち着く。車内灯は点いているものの、少々視力の弱い私には薄暗い、読書は締め連れや周りの人の話に耳を傾け、車窓の風景を眺めて過ごす。

 

夕方6時を回るとカップ麺を取り出す人が増え、各車両に設けられた給湯器へお湯を貰いに行く。

車内販売の弁当のワゴンや飲み物と菓子類・果物のワゴンも回ってくる。

 

夜は10時に消灯になる。通路沿いの足元に暗い誘導灯を残すのみ真暗闇である。

暗闇状態になったので、上着のみを脱ぎベットへ入る。

硬臥には、ベットのカーテンも通路との仕切りもなく、全くのノープライバシー状態なので男性は勿論、殆どの女性も上着を脱ぐ程度で横になっている。

 

2月3日(月)6時半目が覚める。途中何度が目覚めたものの、充分に寝たので起き出し掛け布団を畳み身仕度をする。外は未だ暗く、通路の窓脇にある椅子を下げ腰掛けぼんやりと外を眺める。徐々に薄らと明るくなってくる。

一晩かけて北上を続けた列車から望む景色は、桂林周辺での冬でも緑の多い眺めとは一変し、遠く近くに見える木々の林は、すっかり葉っぽを落した裸の木立に変り、野も山も冬枯れの寒々しい風景である。

7時半になり車内灯が点く、未だ外は少し暗く8時過ぎにならないと朝が明けた実感はない。

連れの一行が次々に起き出しそれぞれに洗面へ行く。朝食をパンとお茶で済ませる。

 

途中、長江の手前遥かより都市の様相に変り大きな駅へ到着する。湖北省の省都武漢市の武昌駅と判明する。20分以上の停車時間があり、ホームに降り立ちブラブラする人達も多くいる。

発車すると直ぐに長江を渡り始める。この辺りは中流域と思うが、さすがに世界の大河と謳われるだけの広大な河幅であり、列車で渡り切るまでにたっぷりの時を要する。

渡ってからも続く市街地の広がりに、この省都の大きさを実感する。

 

硬臥以外の車両の見学へ行く。長距離列車の所為か硬臥車が多く、どの硬臥も塞がっているようである。

車窓の両サイドに付けられた椅子に座り、スマホを見たりお喋りにと通路もベット側も賑やかである。

 

それらを抜けると一転、通路に人一人いない車両になる。一輌だけの軟臥(A寝台)車である。完全個室のドアは締められ、内部の様子は全く見る事は出来ない。

 

その次は食堂車で、これも一輌のみである。午前10時を過ぎた時間外れの一人の客もいない車内は、安食堂の雰囲気である。車掌が一人のみいて声を掛けてくる。連れの青年と二言三言言葉を交わし先へ進む。

この事が、重要な意味があったと、後々に判明する。

 

食堂車を挟んで、先は座席の車輌になっている。座席のタイプは一種類のみしかなく、少しソフトなクッションの席であるが、硬座(普通車)料金とのことである。以前に見た硬座は座面と背もたれが直角の固いビニール張りであった。 手前2輌は空席は無いものの立つ人は無く、その先の車輌になるとぽっぽっと空席が目立ち、更に、その先では3人掛の席に、手足を伸ばして横になっている人も現れる。

「春運」(春節前後の帰省の民族大移動)期間は、通路も立錐の余地も無い大混乱を予想していた私は、拍子抜けする思い出である。 引き返す途中、空いた席に腰を降しこの状況を話し合う。

 

今年の春節は1月31日元旦で、1月17日から春運の大移動が始まり約1ヶ月間続くと予想されています。

中国人にとり、古里で家族一同が会し、1月30日の大晦日の夜に賑やかに会食する「団飯」は、何事にも変え難い行事であり、大晦日の約2週間前から始まる春運は、それまでに是が非でも帰郷したい人々で大混雑し、春節に入ると少し落着き、又春節の終わり近くなると、都会へ戻る人々で混雑するのではとの推測に落ち着く。

 

席を立ち食堂車を抜け自分達の車輌へ戻ろうとした際、先程の車掌ではない4・5人の車掌が座っており、その中の車掌長らしき人物が、詰問長に言葉を掛けてくる。連れが暫く受け答えをしていると、先刻の車掌が戻ってきて説明してくれ、無事にそこを通過する。帰り着き事情を聞くと、座席車から何の用で寝台車へ行く?切符を見せろと迫られ、連れもそのような規則を知らず、家族に預けたまま車内見学に出て、困っていたところに偶々行く際に言葉を交わした車掌が戻り、事なきを得たとのことでした。

中国では、列車内での盗難も少なからず有りうることなので、食堂車を挟んでうろつく不審者を問い糾すのは、スタッフとして当然のことで、何も証明するものを持たずにうろついた当方の落ち度であると反省する。

 

午後、河南省の省都鄭州や同じ河南省の歴史に度々登場する洛陽を経由し、一路西へ西へと走る。

 

夜09:30頃、陝西省の省都西安駅到着。ここまで所要時間約28時間1泊2日である。

深夜01:48発蘭州行の待ち時間4時間余りに街へ出て食事をゆっくりと摂ろうという話しになる。

国際観光都市であり、古からの都でもあった西安だけに、駅と駅前広場の賑いは目を見張るものがある。

 

美味しい食事を堪能し、0時前に駅へ戻り巨大な待合所へ入る。総合待合所で千数百人は居そうである。

食後満腹での深夜の待ち時間は些か眠い。

 

01:48発蘭州行の改札が01:30頃始まりホームへ急ぐ、既に列車は入っている。

再び、長々とホームを移動し、車掌に切符を渡し乗り込むと、深夜2時前の車内は真暗闇である。

暗がりの中に、寝台を探し当て大きな荷物の数々を、先客の荷物の隙間に押し込んで落ち着くまでは、2度目であるが一苦労の作業である。それが済むと早々にベットへ潜り込む。

朝7時前に目覚め、混ない内にトイレと洗面を済まそうと起きる。

 

蘭州到着1・2時間前、西安到着前と同様に通路の長い一枚マットを巻き取りに来る。

続けて、車内の魔法瓶等の小物の回収、シーツを取り外し、更に床を掃きに来る。寝台下も押し込まれた荷物で塞り完全に掃くことは無理なのに、隣の寝台へ移動させられ、強引に掃除を済ませてしまう。

日本であれば、終着駅で乗客が全て降りた後、忘れ物の点検をしながら効率よく掃除を行うと思うが、ここでは、スタッフ達が終着後なるべく早く仕事を終わらせる遣り方を取っているとしか考えられない。

この国のサービスは、デパートや高級レストランなど一部では改善されつつも、公的企業では自分達の都合にお客を合わせていることも、未だ未だ多いのも現実である。

 

02月04日(火)朝9時30分、甘粛省の省都蘭州駅到着。西安→蘭州間約8時間足らず。

この時季の蘭州はマイナス7~8℃になると聞かされていたので、厳しい寒さを覚悟していたが、それ程ではなく一安心する。

まずは、友人がネット予約していてくれた、帰りの乗車券を発券して貰いに窓口に並ぶ。

 

駅での、大荷物を提げての移動距離の長さや、長階段に乗降タラップの問題と、高齢者の私にとり多くの困難はあったものの、健康体でもあり若き友人の助けも借り、無事に到着でき満足とともにほっとする。

 

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